オレとアイツ


夢月は言われっぱなしで黙ったままだ。



表情一つ動かさない。


「なんとか言いなさいよ!あんたなんて捨てて正解だわ。二度と海月に近づかないで。」



夢月を、捨てた……?

どういうことだ?


俺たちの知っている海月の両親はそんなことをする人じゃない。


「糞婆。黙って聞いてれば好き放題言いやがってふざけんじゃねぇよ」



……これ、喋ってるの夢月じゃないからな。


麗ちゃんだからね。


もうこれも信じられない。


え、俺誰の事信じればいいの?


つか、今何が起こってるの?


え?え?俺頭パニック状態だよ?



「く、糞婆!?何言うのよ!失礼な!」



「あんた何様のつもり?むーちゃんの利用価値?そんなんあんた達が決める事じゃないから。ふざけんな?クズ?それはこっちのセリフだわ。だいたいあんた達を助けてやったのはコッチだ。てめぇら何様だ?いいんだぞ。いつでもあんた達を路頭に迷わす事が出来る。それをしないのはむーちゃんの優しさだ。まぁあんた達がむーちゃんを捨ててくれたのは感謝しとく。そのお陰であんた達みたいなクズからむーちゃんを守れたわけだし。だいたいむーちゃんに手を出さないのが契約だったはずだ。契約違反もいいところだ。覚悟出来てるだろうなてめぇら」




「「「「…………」」」」



息継ぎ一つしないで噛まずにスラスラとマシンガントークした麗ちゃん。



ある意味尊敬するわ。



でも、言ってる内容は俺たちには理解できない。



捨てた?路頭に迷わす?契約?利用価値?


何の事だかサッパリだ。



それは爽達も同じだったみたいで、頭にハテナマークを浮かべている。