ズボラ女が恋する瞬間

「例えば、僕みたいな?」


ゆっくりとこちらに歩み寄る須賀に、逃げなきゃと思うのに動けなくなる。

そして須賀に頬を撫でられ、ゾッとした。


「あ、の・・・」


震える声で、尋ねる。


「あなたですか?変な手紙を寄越してたのは」

「変なって、失礼だな。あれは、俺からのラブレターなんだけど」


いやいやいや、ラブレターって・・・

美化し過ぎでしょ?


「泉さん、僕と付き合ってよ」


ないないない!!

ストーカーみたいな奴と付き合うバカを、あたしは見たことがないんだけど・・・


「あの、ご、ごめんなさい」

「なんでだよ」


声のトーンが、一気に変わる。

ヤバい!と思った。

何がとか、うまく説明なんてできないが・・・

本能で逃げなくてはと、思った。