黒い恋人


腕を片方ずつ前に伸ばして、少しずつ体を地面に寄せ続けた。

そして、時間と力をかけてやっと体を地面の上に戻すことができた。

『はぁ...はぁ...はぁ...』

私の顔も体も焦りと恐怖によって汗で湿ってしまった。

肌が崖によってかすってしまったので、擦り傷が出来上がってしまってた。

ハッと空を見上げてあのカラスを目で追おうとしたが、今度は見えなくなった。

一体どうして私に向かって突っ込んできたのかわからない。

しかも私にぶつかってなどなかった。

あのカラスは何がしたかったのか、私に死んでもらってその死体を食べたかったのだろうか。

でも私は生きてる、だから食べ損なったことで怒ったからどっか行ってしまったのだろうか。

私は立ち上がって服についた砂や土埃を払って海から帰った。