ダブル・フェイス 〜クールなあいつは泣き虫王子〜


わたしたちは、たぶん普通の幼なじみなんて関係じゃなかったと思う。

片瀬幸人。

幸せな人、って書いてゆきと。

明らかに名前負けしてるだろってくらい、いっつも泣いてばっかだった。

それからいっつも不安そうで、わたしのうしろにくっついて隠れてたのだ。

これ、いつの話かって?

それが、幼稚園のときだとか、笑い話にできるような昔のことではない。


今日のユキからは1ミリも想像できないけれど、というかあの様子じゃ誰も信じないだろうけれど、

わたしの記憶が正しければ、あの時も泣いてた。

3年前。中学を卒業した春。

別れの日、最後に会った日だ。