「ちょっと、真央!どうしたの今の」 「...あ、えっと」 一際興奮したような高い声が聞こえて人混みを振り返ると、去年同じクラスだった友達が目を丸くして駆け寄ってきた。 「あのさ、今のって」 「え?ていうか知ってるの?片瀬くんのこと」 片瀬。 ユキの名字だ。間違いなかった。 「いやあ、人違いだったっぽい。恥ずかしいわー、何やってんだろ」 へらへらと笑ってみせながら、すこしだけ、ほんとうに人違いだったらよかった。なんて思ってしまった。