...嫌いだ。

嫌いだ嫌いだ嫌いだ。

私に構ってくるこいつなんて。

「...ひっく、まおちゃ...っ、うっく」

「...ついてこないでよ」

ああもう、うるさい。


細く白い腕を頼りなさげにこっちに伸ばして、涙を溜めた目でまっすぐ、こっちを見てくる。澄んだ瞳がすこし、寂しげに揺れた気がした。それでも、


「...最後だよ。今日だけだからね」


仕方なく受け入れてしまうのは。 わたしより大きな背中を抱きしめて、守りたいなんて思ったわたしは、お人好しだったのかもしれない。



「泣き虫なんて、大嫌いよ」



素直になれなかったのだって、自分のせいだ。