叶夢が指さす方を向くと、幾夢がムスッとしてどこか不安そうな面持ちでこちらを見ていた。


「幾夢さん⋯?」


名前を呼ぶとビクッと震えた。そしてこちらへ歩み寄る。


「どうしたんですか⋯?」


「りん⋯っ。」



ぎゅっと強く抱きしめられる。突然のことでびっくりしている祭莉。そして、幾夢の肩が震えているのがわかった。


「幾夢さん⋯?」


「幾夢でいい⋯⋯」


「い、くと⋯どうしたの?」


すると、今にも泣きそうな表情で祭莉を見つめる。