そのまま、黙って陸に抱き締められていた。
すると外から車の音が
「社長だ!」
と慌てて陸の身体を離す。
陸は、少し寂しそうな目をした。
「…そんな事言わないで…おかしくなりそうだから…」
「僕本気ですから!」
そう言って掃除をし始めた。
バタンと扉が開き社長が
「おはよ」
「おはようございます!」
「お…はようございます」
「ん?山口さんどうした?」
「え?いえ…何も(笑)」
「体調悪いなら帰っても良いぞ?」
「大丈夫です(笑)」
明るく笑い掃除を終えた。
仕事中右斜め前に座る陸が気になって仕方ない。
(何ドキドキしてんの?…馬鹿じゃないの私…)
時々視線が合い陸は笑顔で答える。
私は、気がおかしくなりそうで視線を逸らすの繰り返し。
(何やってんだ…私…)
なかなか仕事に集中出来ずにいた。
その日の夕方。
社長が
「今晩飲みに行くか?」
と言い出した。
(飲みかよ…嫌だなぁ…)
社員は、全員強制参加をさせられる。
早速、他の社員が店に予約をしてその晩飲み会になった。