私はつらいよ。

土屋の見る世界がくすんでしまうのは。

好きな人の世界がぼやけてしまうのは。


なんで君は、そこまで強くいられるの?




駅前のアイス専門店に辿り着き、好きなフレーバーのアイスを頼む。

私はチョコミント、土屋はキャラメル。

沙美達はクッキーが入ったアイスを注文したようだった。


「俺、チョコミント食ったことねぇ」

「そうなの?」

「いつか食べたいなって思ってはいるんだけど、結局いつもキャラメルに行き着く」

「あはは、わかるかも。なんだったら、一口食べる?」


私の提案に土屋は少し驚いた顔をして。

そしてその後、ふっと笑って頷いた。


「俺のも食べていいよ」

「へっ……!?」


私の返事も待たずに、土屋はスプーンをアイスに伸ばす。

よく考えたら私、すごい大胆なこと言ったかも……!


「ん、美味い。チョコミントもありだな」

「ほ、ほんと……?よかった」

「ん。お前は食わねえの?」


ん、と言って差し出されるキャラメル味のアイス。

えーい、どうにでもなれ!