たとえば呼吸をするように

トマトが苦手な私にとっては、信じられない行為……。


「……沙美は、さ。将来、やりたいこととかって、ある?」

「うん、一応。母親が保育士だから、私もそっち目指したいなーって」

「そっかー」


色々考えてるんだなぁ……。

志望校は夏までに、なんて先生達は簡単に言うけど、将来を左右するってわかってるから尚更決められない。


「やりたいことないなら……っていうのもあれだけど、一般企業の就職目指して大学に入るのも1つの手じゃない?専門職じゃなきゃ駄目なんて決まり、ないんだし」


沙美の言葉に、そうだねーと力なく言葉を返すことしかできない。

すぐ目の前に迫ってることなのに、何もかもを遠くに感じてしまうんだ。


土屋もまだわかんないって言ってたけど……どうするのかなぁ。

沙美から視線をずらし、友達と楽しそうに笑う土屋を盗み見る。

明るくて誰とでも分け隔てなく話せる土屋なら……きっとどこに行っても大丈夫なんだろうなぁ……。