たとえば呼吸をするように

明かりをつけることもせず、倒れるようにベッドにダイブする。

枕に顔を埋めた瞬間、堪えていたものが目から溢れ出した。


「……っう」


夢とか将来とか、そんなのばっかり。

その延長で、いつも言われる髪のこと。


「どうして……わかってくれないの……」


金髪が正しいなんて思ってない。

受験生なら尚更言われるのもわかってる。


だけど、それを悪いことだなんて言わないでほしい。


私が髪を黒に戻してしまったら。周りと同化してしまったら。

土屋は、私を見つけられなくなる。


それは、それだけは、絶対に嫌なの。




翌日、泣き腫らした目で学校の門を潜る。

生徒指導の先生がいつものように私に歩み寄って来たものの、その怒号を聞く気にはなれず、私は視線を向けることもせずに昇降口へと足を進めた。


「おはよー」

「はよ」


飛び交う朝の挨拶すらうざったくて、履いていたローファーを乱雑に靴箱に直す。