「…あの、お姉さんが……」 思い当たる顔は一つだけ、直前に優しい言葉をかけてくれたあの女性。 もう一度会いたいと思った。 会って、あの時のお礼が言いたい。 「名前……聞いておけば良かった」 覚えているのは…優しい笑顔と、花のようなフルーツのような不思議な香り。 あの人は、今もどこかで笑っているだろうか……。 あの時指さされた部分、胸の辺りを、そっと手の平で抑える。 もし、もう一度会うことが出来たなら…お礼の他にもう一つ、伝えたいことがある。 「わたし今、すごく幸せです……」