姉妹ものがたり


もしかしたら、あれは全て夢だったのかもしれない。
目が覚めて、見慣れない天井が目に入ったとき、なぜか真っ先にそう思った。


「弥生!」


切羽詰ったような声で名前を呼ばれて顔を上げれば、泣きそうに歪んだ母の顔があった。


「…お、かあ…さん……」


乾いた喉で必死に呟けば、強い力で抱きしめられた。
布団の上からでも感じられるその力強さに、僅かに戸惑いを覚える。


「無事で、良かった…」


馴れない温もりに、ついつい体が強ばる。