姉妹ものがたり


転がり続けるボールを何とか捕まえた時には、既に巨体が目の前まで迫っていた。

鳴り響くクラクションが耳に痛い…それなのに、体は全くいうことを聞かない。

動かない体に、きっともう終わりだと思った。
これで、全てが終わる…最後の衝撃に備えて目をつぶると、全身がふわっと柔らかいものに包まれた。

花のような、フルーツのような…どこか心安らぐ香りが全身を包んで、薄らと目を開ければ、すぐ側に優しい笑顔があった。


「もう、大丈夫だよ」


なぜその人がここにいるのか、なぜ体はちっとも痛くないのか…グラグラと揺れ動く思考の中で、スーっと意識が遠のいていった。





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