「キモイ…」
「おい、お前!それおれに言ってんのか!!」
「あんた以外誰に言うのよバーカ」
「しんやくん、よそ見してると指切っちゃうよ」
キッチンからは、ジュージューと美味しそうな音が聞こえてくる。
漂ってくる匂いから察するに、どうやら玉ねぎを炒めているようだ。
「大体…なんであんたがキッチンにいんのよ!」
勉強の続きを始めた皐月の視界には、並んでキッチンに立つ弥生と慎也の姿が映っている。
「カレー作るのを、手伝ってるに決まってんだろ。他に何してるように見えるんだよ」
人を馬鹿にしたようなその言い方に、ムッと唇を尖らせると、弥生に向けて抗議の視線を投げかける。
「ちょっとお姉ちゃん、なんでこんなやつと一緒に料理してるわけ?さっさと追い出そうよ」
鍋で玉ねぎを炒めながら綺麗な飴色に仕上げていく弥生は、皐月の抗議の視線を笑顔で受け止める。



