「あんたね、図々しいのよ!あたしの家ならまだしも、お姉ちゃんの家に泊まろうだなんて一億万年早い!!」
「なに?お前の家なら泊めてくれんの」
ニヤっと上がった口角に、皐月は自分の失言に気付いてハッとする。
「そ、そういう意味じゃない!今のは単なる言葉の綾であって…」
慌てて取り繕う皐月の様子をニヤニヤと楽しげに眺める慎也に、堪らず平手打ちを繰り出す。
恥ずかしさのあまり目をつぶったまま放った一発は、当然かわされるものと思っていたが…薄ら目を開けてみると、頬を抑えてうずくまる慎也が視界に映った。
どうやらクリーンヒットしたらしい。
「ふん、ざまあみろ」
「お前…不意打ちとか卑怯だぞ……」
真っ赤に腫れ上がった頬を抑えて恨めしげに睨みつける慎也を、皐月は勝ち誇ったように見下ろす。
そんな二人を遠目で眺めて、弥生がにっこり笑った。
「本当に二人は仲良しさんね」
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