「最近未来ってばため息多ーい。

そんなことじゃあ、幸せが逃げてっちゃうぞ?」


「雪」


「最近どう?林田君とは」


「うん、まぁまぁだよ。


雪のほうは?佐伯君とうまくいってるんでしょ」



私がそう聞くと、雪はニヤニヤしながら、




「まぁね~」



と言った。




「今、ちょーいい感じなんだよね。


孝太君ってばね…」


「ん?孝太君?」


「あ、佐伯君の下の名前よ。佐伯孝太っていうの」


「へぇ、そうなんだ…。


雪と佐伯君って、もう下の名前で呼び合ってるの?」


「うん」



そうなんだ…いいなぁ。

雪と佐伯君はまだ付き合っていないにも関わらず、下の名前で呼び合っている。

それなのに、私と林田ときたら……。



「はぁ…」


「また、ため息」


「だって、いいなぁーって思って」


「私だって未来が羨ましいよ。

私と違って、おまじないでうまくいってるみたいだし」


「そうだけどね………」




そんなこと言ったら、私はおまじないなしで、下の名前で呼び合える雪達が羨ましい。



「結局、2つ目のおまじないしたんだよね、効果が切れてないってことは。

どうやって林田君の左手の薬指の血ゲットしたのよ…」



「それはまあ……あんま聞かないほうがいいよ」


「…そうする」