雪に置いて行かれ、一人になった私のところへ、



「よう、竹下。今帰りか?」



と声をかける者がいた。


背が高く、大きなスポーツバッグを肩にしている彼は、同じクラスの林田当麻(はやしだとうま)。


いつも、私にちょっかいをかけてくる男子だ。




「あんたには関係ないし」


「なんだとっ。

このっ」




林田は私の態度が気に入らなかったのか、仕返しに私の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。




「ちょっやめてよ!

髪が乱れるじゃん」


「俺に失礼にするからだ」


「はっ!?意味わかんない!」




本当に、意味がわからない。


やめてよ、こういうの。


ちょっと、期待しちゃうじゃん。