「いやー。終わったんやねぇ」



「なぁ、もう教えてや」



「何を?」



「誰と結婚するん?」



今日、ついに卒業式を迎えた。

私の机に座る梢とは、最後まで席が離れたままだったけど、何とか仲良く過ごせた。

遠く離れてしまった教卓をボーッと見つめてると、今まで誤魔化してた結婚相手について訊かれた。



「卒業式が、終わったらね?」



「もーえーやんか!教えてや!」



「いーやーやっ!」



「くたばれ、コブタめ……」



「コブタちゃうわ!!」



この1年。

私は喜多見に住んでもわりと規則正しく、愛陽さんのバランスが考えられた食事で過ごした事もあり、15キロも痩せた。

お陰で今は40キロ。

ナイスバディではないけど、中肉中背になった。



「行くよ、不良少女」



「ただのゾッキーや!」



謎の新語を言ってる梢と手を繋ぎ、放送に従って廊下に出る。

出席番号順で並び、翔希を筆頭に体育館へと行く。

入場しながら、愛陽さんに小さく手を振ると、笑顔で生後2ヶ月の皇元-コウゲン-君を抱く反対の手で振り返してくれた。

途中、見つけた母親を見るに見れない私に。