孤独少女~Kiss Me~

…ま、えーか。



「そろそろ帰るわ」



「ん。気ぃ付けて帰れ」



相田に見送られながら、私はようやく教室を出た。

下校開始時刻から30分。

そろそろ、空いてるだろう。

愛純の父親は、中小企業の社長。

割と良い生活をさせてくれて、去年までは登下校は中学から送迎車でしてた。

しかし、離婚を機に私は電車通学。

そして初日から痴漢に遭う羽目に。

それから混雑を避けての登下校。

口が悪いのは、鎧を被ってるようなもの。

実際は、1回の事を引き摺るようなただの弱虫。

電車を乗り継ぎ、着いたのは1DKの木造2階建てのアパート。

築30年以上の古いアパートの外付け階段を上がり、部屋に入ると、玄関脇のキッチンには、ラップのされたサンドイッチが置かれて居た。

夜は夜で、冷蔵庫に大盛りの炒飯がある。

学費は愛純の父親が払ってくれてるけど、生活費は母親が朝から夜中まで働いてくれたお金で賄われてる。

朝からラーメン屋さんで働き、夜はスナック務め。

“ごめん。またたこ焼きを買う暇がなかった!戸締まりちゃんとするんよ? 母より”

サンドイッチの腕に置かれたメモを見ながら、溜め息が漏れた。