「あんなされて、嫌にならんのか」



「ならへん。相田とキスが出来ひんようになるより、よっぽどえーよ……」



素直に気持ちをぶつけた私に、相田はクスッと笑って肩を抱いて来た。

見上げると、おでこにキス。

何だかニヤけそうで、唇を噛んで嬉しさを隠す。



「さすがにもうマズい」



「ん。おーきに……」



相田が教室を出て行き、私は席に座って読書タイム。

俺様でシスコンな、顔と性格がアンバランスな悠陽さんから借りた本。

ちょっと私には難しい題材だけど、文章自体は難しくなく、スラスラと読める。

…んー、でも何やろな。

頭の中で、上手く本の世界を表現出来ない。

パッとした断面ではシーンが浮かべれるのに、ストーリー展開されない。

読書は嫌いじゃない。

しかも借りてしまった手前、読み切るつもりだけど次はないかな。



「――愛李」



「陸……。おはよう」



読書タイムをして5分は経ってないだろう。

いつもより早く陸がやって来た。

時計を見ると、まだ7時50分。

ホンマに早い。



「どうしたん?こんな時間に」



「話したくてな」



…愛純ネタでなければね……。