孤独少女~Kiss Me~

「これ、余計なお世話やろーけど、晩御飯。準備されてたら、朝ご飯でもえーよ」



「ありがとうございます」



紙袋の中身は、可愛らしいハンカチに包まれたお弁当。

いつの間に、準備してくれたんやろ……。

手作りのお弁当なんて、いつぶりか。

もう、それすら忘れてしまった。



「えーか?寂しかったらいつでも来てや。電話してくれてもえーから。わかった?」



「愛陽さん。ホンマ、ありがとう……」



「私が勝手にした事や。気にせんと、受け取って」



「ん……っ」



紙袋の握り手を強く握り締めながら、涙を堪えた。

喜多見邸を出て、相田のバイクで帰路につく。



「家、B町やったっけ」



「うん」



信号待ち。

振り返りながら訊いて来た相田に頷きながら、夕暮れの街を見渡す。



「あ!ここで良い!」



家に近付き、私はアパートへの曲がり角で降ろして貰った。

別に、古いアパートを見られたくないわけじゃない。

ただ、お年寄りの多い隣近所。

目立った事はしたくないんだ。

きっと、1日働きっぱなしの母親への後ろめたさもあるんかな。