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1年前の夏。

学校を早退して、泣き疲れて自室のベッドで眠っていたあたしの部屋を、誰かが訪れたことは覚えている。


ほとんど夢の中にいたけど、きっとあれは翼だった。

いつも隣で感じていた、甘いバニラの香りがしたから。


「ごめん、このは」


理由が分からない謝罪の後に、唇に落ちてきたのはふわふわ柔らかいマシュマロのようなキスだった。