無糖バニラ

すでに全身がびしょびしょ。

その濡れた格好で店内に入ることをためらっているのか、眉間にシワを寄せて空を見上げている。


「……翼!」


近づきながら名前を呼ぶと、翼はビクッと体を反応させ、ようやくあたしの存在を認識した。


「お前……」


また、嫌そうな顔を見せる。

そんなに嫌いなくせに、傘貸したりしないでよ、ばか。


「家まで一緒に帰ろう。風邪引くよ」

「傘使っといて、何でそんなに濡れてんだよ」

「翼のこと追いかけたら、こうなった」

「バカなのか?」

「……」