無糖バニラ

小嶋くんが、後ろから腕をつかんで……。


「翼のとこ行くの?」

「あ、あの……、追いかけなきゃ……」

「なんで?」

「なんでって、傘無いと風邪引いちゃう……から」

「それだけ?」


小嶋くんの顔が真剣で、ちょっと睨んでいるようにも見えて、少し怖い。


「……っ」

「ごめん。意地悪した」


パッと手を離されて、つい安堵のため息を漏らしてしまう。


「じゃあ……、行くので……」

「うん。内海、俺のこと考えといてね」

「う、うん……」


あたしは今度こそ翼を追いかけて外に飛び出した。