無糖バニラ

小嶋くんは翼をチラッと見てから、またすぐにあたしに目を戻す。


「いいよ、大丈夫。内海の家、結構近いじゃん。内海を送ってから、帰ればいいだけだから」


確かに徒歩圏内なんだけど。そうなんだけど。そうじゃなくて。

小嶋くんと……相合い傘?

告白の返事を保留しているこの状態で?

……無理だ!

心臓もたない。大変なことになる。


「あ、の……、でも、そんな、申しわけないっていうか……」


どうやって断ろうかと、身振り手振りでパタパタしていると、バサッと何かが足元に投げ込まれた。

紺色の傘。

これは、翼の……。