無糖バニラ

「あ……、うん……。雨降るって知ってたのに、ボーッとして忘れてきちゃって」


さっき逃げてしまった手前、とても気まずい。

普通に考えたら、いくら逃げたところで、放課後なんだから行き着く場所は同じだった。


小嶋くんの顔も見れなければ、翼に目を戻すことも出来ない。


ソワソワと腕を触っていると、


「じゃあ、俺の傘入ってく?」


昔の、翼みたいなセリフ。

だけど、それを言うのは……


「え……、でも、小嶋くん方向違うんじゃ……。確か、電車通だったよね?」