無糖バニラ

どうしよう……。

徒歩通学だから、家はそれなりに近いほうだけど、この雨の中で傘もなしに帰ったら、家に着く頃にはびっちゃびちゃ確定。

同じ方向の女友達はいないし、雨がいつ上がるかも分からないし。

中学の頃は、こんな時必ず翼が……


「あ」


あたしがやってきた方向とは逆の方から、見覚えのある人物が。


「は?」


あたしに気づき、彼は目を細めた。

また、そんな嫌そうな顔する……。


「翼、今帰り?」

「ああ」


相変わらず目も合わせず、そっけない返事。