無糖バニラ

聞きなれない日本語を向けられて、あたしは何度も瞬きを繰り返す。


「…………え?」


ものすごいことを言われたことだけは、理解した。


「これも初めて言われた?」

「も、もちろん……」


汗がブワッと噴き出す。

信じられないことが自分の身に起きていて、訳も分からずすでにちょっと涙目。


小嶋くんは、先程の真っ赤な顔が嘘みたいに、涼しい顔になっている。


「ご、ごめんなさい!帰る!」


堪えきれなくなって、あたしはその場から逃げ出してしまった。