無糖バニラ

「今日もすごいねぇ」


仁奈が、呆れているような、感心しているような言葉を漏らす。

あたしより先に学校に行ったはずなのに、あたしより遅く教室に入ってくるとか……。

翼を見て、あたしの眉間のシワはさらに深く刻まれる。

今日も、周りはたくさんの女子で囲まれていて、相変わらず中心部にいる顔は迷惑そう。


「うるさい、どっか行け」


低い声で威嚇しても、「きゃあっ」と喜ばれるばかり。

分からない……。

あたしなら、冷たくされたら傷つくけれど。


「すげーな、翼」


登校してきた小嶋くんが、笑いながら翼の肩を叩いた。

昨日の告白を思い出して、あたしの心臓が騒ぎ出す。