無糖バニラ

翼は少し目を細めて、あたしの目をじっと見た。

先にスタスタ進んでいた距離を戻って、目の前まで来る。


手がこちらに伸びてきて、大きな手があたしの頬に触れた。


「っ!」


ちょんっと、指先だけで翼の温もりを感じる。


「な、なに……?」


この展開は、またキ……


「お前はさぁ、なんでまだ俺のそばにいようとすんの?」

「なんでって……」


何の話?
今の話?


翼は頬から手を離し、次にあたしの腕をつかんだ。

長袖の上からでも、体温が熱いのが分かる。