無糖バニラ

不意に目が合って、

「!!」

すぐにそらした。


青かったはずのあたしの顔は、一瞬で真っ赤に。

あの唇が、あたしの唇に……。


胸に手を当てて呼吸を整えているうちに、翼はひとりで歩き出してしまった。


「ま、待って!」

「なに」


背中に向かって呼び止めると、相変わらずの涼しい顔が振り向いた。


「お、おはよう……」


まずあいさつをしている場合か、あたし。


「ああ」


しかも、返事は2文字。