無糖バニラ

今日は、一緒に通学したいなんて少しも思ってない。

慌てて逃げようとすると、再びお店のドアが開いた。


「もう、あんた中学の時は、このはちゃん起こしに行くくらい早起きだったくせに」

「いつの話だよ」


翼ママの小言を背中に浴びながら、今一番会いたくない男子が出てきた。


「ふたりとも、仲良く学校いってらっしゃい」


翼の背中を押しながら、翼ママは小さく手を振ってドアを閉めた。

事情を知らない人の行動がこんなに恐ろしいものだったとは。


「……」

「……」


あたしは、顔面蒼白。

翼はいつも通り涼しい顔。