「これで、もう他のこと考えられなくなっただろ」


足の力が抜けたあたしは、ぺたんと地面に尻もちをついた。

なに、された?


唇に、唇が……。


「ーーっ!!」


止まっていた血液が、勢い良く顔に集まってくる。

キス!?今の!なんで!?


翼は、あたしと目線を合わせるように屈んで、


「真っ赤」


口角を上げて、笑って見せた。


やっぱり翼は、よく分からない。

キスの意味が、嫌がらせなのか、愛情なのか。

とりあえず言えることは、ひとつ。


もう、くらくらめまいがしそうなくらい、頭の中が翼のことばっかり。