無糖バニラ

他の焼き菓子を見ても、そこにはバニラクッキーだけがない。


「ねぇ、やっぱり翼のクッキーも置いた方がいいと思うな。おいしいから」

「いいんだよ、あれは店には無くても」

「何で?形が下手くそなの、自覚してるから?」


ジロッと睨まれて、あたしは舌をぺろっと出して黙ることにした。


「元々店のメニューにないし、俺はお前がバニラクッキーを好きだから作ってるだけだし」


今、お客さんいなくてよかった……。

こんな顔で、接客なんて出来ない。


熱い頬を冷ましたくて、両手で包む。

何でそういうことを、さらっと言うかな!