「夏期講習って、何やるんだろうね」

「勉強だろ」

「……」


そんなことは分かっている。

少しくらい、会話を続ける努力をしてほしい。

あたしは、翼と何でもいいから話をしたいだけなのに。

付き合い始めだというのに、なんというか……甘い空気みたいなものが足りなすぎるような。


むぅっとしているあたしの横顔を見て、翼が笑った。


「なに?今笑った?」

「いや」

「!」


さり気なく手を握られ、びっくりしてその場でぴょんと飛び上がりそうになった。


……甘くないわけでも……ないのかも。