無糖バニラ

「……怒ってんのか」

「当たり前でしょ!あの時、「ごめん」とかって謝ったよね?悪いことしてないくせに」

「そっちかよ」


翼が脱力したように、はぁーと息を深く吐いた。

そして、聞きたいことはもうひとつ……。


「なんでしたの?キス」

「好きだからだろ」

「えっ」


もしかしたら曖昧な言葉でごまかされるかも、なんて考えていたから、即答されたことに、質問したあたし本人が言葉に詰まってしまう。


やっぱり、今って夢の中なんじゃないの?


「だったら……、その時そのまま告白してよ……」


照れ隠しのせいで、あたしの口は可愛くない言葉を飛び出させる。


「あの時、そんな余裕なかったんだよ。俺と一緒にいるだけでお前が傷つけられるなら、離れた方がマシだと思った」

「それはそれで、言ってほしかった……」

「言って、納得すんのか」

「しないけど」

「ほらな」


すっかり見透かされていて、悔しい。