無糖バニラ

「だから、早く俺を好きになれ」


触れている手のひらから、甘いバニラの香りがする。

視界が揺れて、ふわふわする。

夢と現実の境界線はどこ?

こんな幸せなことが、現実のはずないのに。


「好きだよ、もう……とっくに……、バカ」


じわっと涙がにじむ。


「あたしは、ずっと翼しか好きじゃない……!」


頬を伝う涙が温かい。

ここは、本当に現実なのかもしれない。