無糖バニラ

その場でエプロンを脱いで、畳んでから翼ママに受け渡す。


「ありがとう、このはちゃん。待ってね、今おみやげのケーキ……」

「ううん、あたし結局何も働いてないから、もらえない」

「あっ、待って」


あたしはぺこっと頭を下げて、翼ママが引き止める声を背にして、店をあとにした。


扉を締め、ため息をつくと、


「内海!」


慌てた様子で小嶋くんがあたしのあとを追ってきた。


「送るよ」

「え……、でもうちすぐそこ……」

「ん?」


目と鼻の先にある、内海家。

指を差し、その先を目で追った小嶋くんは、すぐに笑った。


「近っ」

「でしょ」