無糖バニラ

甘い甘い、バニラの香りがする。

クラクラして、気が変になりそう。


遠くの方で、女の人の笑い声が聞こえる。

お店のお客さんかな。

すぐ近くのはずなのに、別の世界にいるみたい。


まぶたを薄く開くと、熱っぽい翼の顔しか見えない。


「は……ぁ、まだ……するの?」

「まだ。全然足りねーよ」

「ん……っ」


あたしたち、キスしてる。

ただの幼なじみのはずなのに。


――『あたしはずっと翼のこと友達だって思ってる』


多分、きっと、もう。

戻れない。