無糖バニラ

翼と手を繋いでいる。

子供の頃に繋いだのとも、スケートの時に支えてもらったのとも、どちらとも違う。

力強くて、ちょっと痛いくらいで、信じられないくらい強引。


戸惑いながらもついていくと、見覚えのある住宅街がそこにはあった。

あたしの家……。

帰さないなんて、本当は嘘。

そう思っていたのに、翼はあたしの家を通り過ぎて、真っすぐに隣の家に。

忘れていたわけじゃない。
あたしたちは、隣同士で、幼なじみ。

翼は、パティスリーVanillaの正面玄関には目もくれず、裏口へ。

鍵もかかっていないそこは、片手でドアノブを回しただけで簡単に開いた。