無糖バニラ

「あらっ、ごめんなさい!お客様いたのね。いらっしゃいませ!」

「あっ、大丈夫です。俺、翼の友達なんで」

「そうなの?翼が友達を家に連れてくるなんて、久しぶりねぇー」

「連れてこられたかったなぁー、俺、普通に客で来ただけなんすよー」


小嶋くんと翼ママがほのぼのとしている脇で、カウンターのあたしたちふたりはズーンと重たい空気。


「ちょいちょい、翼か内海、どっちかレジ頼む」

「俺がやる」


小嶋くんが、焼き菓子を手に抱えてレジに置いた。

あたし、やっぱり必要ないみたい。


「あの、翼帰ってきたし、あたし家に戻りますね」