無糖バニラ

揺れるのも構わず、あたしはまた勢いよく立ち上がった。

ぽたっと、温かい何かが手に落ちた。

涙?

こんなことで泣いてしまうなんて、情けない。

話をするつもりでやってきた遊園地。

なのに、今ではもう、少しも小嶋くんのそばにいたくない。

分かってる。
それが、あたしのことを思って言ってくれたというのは。

でも、だけど、全部受け止められるほど、あたしは大人じゃない。


観覧車が1周して、乗り場に戻ってきた。

係員のお兄さんがゴンドラの扉を開けた瞬間に、あたしは外に飛び出した。


「内海!」


小嶋くんが、背中で名前を呼んだけど、振り返らなかった。