無糖バニラ

背中を手で押され、押し込められるように乗り込んだ観覧車の中で、あたしはせっかくの景色も見ずにうつむいていた。


小嶋くん、なんかおかしい。

おかしいっていうか、ひどい。

あたしが困っていたこと、気づかないはずがないのに。

これから約15分。

この重たい空気のなか、時間がもちそうな気がしない。


あたしはずっとうつむいていたから、小嶋くんがどこを見ていたかなんて知らなかった。

今、このゴンドラはどの辺を回ってるんだろう。


「……ごめん」


ポツリと落とされた声に、あたしは顔を上げた。


「無理矢理乗せるようなことして、ごめん」


その目は、まっすぐにあたしを見ていた。