無糖バニラ

他のアトラクションはそこそこ混んでいたくせに、観覧車だけはやたらと空いていて、呼吸を整える時間すらなく、乗り場に着いてすぐに係員に促(うなが)された。


「2名様ですか?こちらへどうぞ」

「はぁ、はぁ、……え?」


立ち止まれたのは、ほんの数秒だけ。

うつむいて、顔を上げたらそこにはもうゴンドラがあった。


「内海、先に乗りなよ」

「あの、あたし」

「足元気をつけて」


小嶋くんのその言葉に、拒否権はなかった。