無糖バニラ

言ったんだ……。

ふたりは友達だし、報告しても不思議じゃないんだよね。


「そう……なんだ……」


他に、なんて言えばよかったのか、分からない。

……翼にだけは言えないなんて、そんなあたしの気持ちまでも、見透かされてるんじゃないかって思った。


「ごめん、迷惑だった?」

「ううん、そんなことない」

「そう?翼、心配して、もしかしてこっそりここに様子見に来たりしてね」


――『奪うよ』


あの日から、頭から離れない翼の声が、ひときわ大きく脳内で響く。


「まさか。来るはずないよ」


そんなふうに笑って見せるけど、あたしは思わず首を回して辺りを見回した。

視線の先には、誰もいなかったけれど。