無糖バニラ

空き教室にひとり残され、両手で顔を隠して大きく息を吐いた。


……小嶋くんに、話さなきゃ。

あの人は優しいから、翼のファンから守るためにまだ彼氏のふりをしてあげるって言ってくれるだろう。

……でも。

もう、こんなズルい方法で気持ちはごまかせない。

翼があたしを好きだなんて、仁奈の勘違いかもしれない。

両想いじゃなくても。
一方通行な片想いでも。

あたしは、翼が好き。

そのために、今から小嶋くんを傷つけに行かなきゃいけない。


パンッと自分の頬を叩くと、唇の傷が開いてビリッと痛んだ。