無糖バニラ

「でもさ、翼も何も知らなかったんでしょ?あんなにグイグイ押してたら、もしかして翼が仁奈を好きになっちゃってたりとかしたら……」

「それはそれで、別にいいんじゃない?」

「えっ……」

「芦沢くんの顔は好きだし。あんなイケメンと付き合えたらラッキーだし。そんなのであたしを好きになるくらいだったら、大してこのはのこと好きじゃなかったんだろうしねー」

「……」


再び淡々と語られ、あたしは今度は顔をサーッと青くさせた。

そんな様子を見た仁奈は、ニヤッと口角を上げた。


「どうする~?あたし、やっぱり芦沢くんとっちゃおっかなぁ?」

「や、あの……、い……嫌なん……ですけど」

「そう?それなら後は自分で頑張ればぁ?」


仁奈はニヤニヤしたまま、あらかじめここに置いていた自分のかばんを持って出口に向かった。


「じゃねー、ばいばいっ」

「あっ、仁奈!」

「んー?」

「ありがとう……」


お礼を言うと、仁奈はキョトンとして、

「勝手なことして、文句言われるの覚悟してたんだけど。こっちもありがと」

少し頬を染めて、扉を開けて出ていった。