無糖バニラ

「結局は、このはが殴られちゃったし。でも思った通り皆ドン引きで、あいつは友達と一緒に早退したみたいだよ。
これで、ちょっとは過激な奴も減るんじゃないかな。あれ見たら、さすがにねぇ。第三者から見たら、完全に痛い子だもん。ああはなりたくないだろうし」


淡々と喋る仁奈に、あたしはパカッと口を開けたまま閉じることが出来ないでいた。

仁奈は、翼のことが好きだったわけじゃなくて。


――『3人で登校すれば、そこまで妬まれないんじゃない?』


今朝のあの言葉も、あれは自分のことじゃなくて、あたしが翼と登校出来るように?

そんなにこの傷あとのことを気にしてくれていたなんて……。


下手をしたら、仁奈が女子から恨まれる立場になっていたのに。


「あれ?なんか泣きそう?……あたし、やっぱり余計なことしたかな?」


そう言って苦笑いをする仁奈の顔を見て、慌てて指先で涙をすくい取る。


「ううん、ありがとう仁奈……」


それなのにあたしは、周りを気にせずまっすぐ翼のそばに行く仁奈を羨ましく思って。

恥ずかしい。
自分は何も行動に起こせなかったくせに。


「あとはねー、このはにやきもちやかせようと思って。あんたたち、見ててイライラするの。ふたりとも好きなくせに、いつまで経ってもくっつかなくて」


……仁奈の思惑通り、ばっちりやきもちやいてました。