無糖バニラ


授業も全て終わり、放課後。

あたしと仁奈は、人目を避けるように空き教室でふたりきりになっていた。


「このは、ちょっと腫れ引いたんじゃない?」

「本当?よかった」


これなら、ママに変な言い訳しなくて済むかも。

唇の端の傷は……、口内炎とかって言えば誤魔化せないかな……。

あたしが自分の頬を気にしてさわっていると、仁奈はいきなり目の前で頭を下げた。


「ごめん!」

「……えっ?」


思いもよらない行動に、あたしは目を瞬かせてポカーン。

これ、どんな状況?


「え、ちょっと、仁奈、どうしたの……」

「あたしが芦沢くんのこと好きだってことは、嘘!」

「は……、……え?」